コロナウイルス感染症の流行による社会停滞が2年ほど続きましたが。ワクチン接種も進み、重症化率も下がっておりようやく収束の兆しが見えてきたように感じています。センターは医療分野での活動が中心だったため、コロナ禍の数年間には何度も派遣停止を余儀なくされ、事業予算も削減されるなど大きな打撃を受けてきました。待ち望んできたコロナの収束ではありましたが、コロナ明けの事業展開は思いの外、厳しい船出となりそうです。
京都市の財政破綻による事業の見直しは、コロナ以前から行われていましたが、さらにコロナを理由に予算がカットされ、ついには2022年度をもって京都市の事業としては終了すると京都市より通達を受けました。京都市は事業打ち切りの理由を「医療通訳派遣事業は医療通訳では電話通訳や音声翻訳サービスの登場により、民間やるべき事業であり行政が行っていくべき事業ではない」としています。
2003年から20年続いてきた京都市医療通訳派遣事業ですが、コロナ前の2019年の派遣は1761件もあり、大変需要の高い事業ででした。特に高齢の患者や訛りの強い患者では音声認識や機械翻訳での対応は難しく対面の通訳者が不可欠です。医療通訳者は長年、外国人患者と医療従事者をコミュニケーションをつなぐという重要な役割を果たしてきました。言葉を訳すだけでなく、患者の心に寄り添い安心感を与える存在としても多くの患者さんやその家族から必要とされててきました。
京都市の財政破綻はコロナで起きたものではなく、そもそも地下鉄建設など京都市の長年にわたる財政問題に端を発しています。京都市長は聖域なき抜本的な見直しを行うとして利用者(患者や病院)の意見を聞くことなく、一方的に事業を打ち切ってしまいました。事業整理の判断は行政側のみで決められており、説明責任を果たしているとはいえません。弱い立場、意見の言えない住民ばかりにしわ寄せ位がきていると感じます。
センターの力は小さなものではありますが、京都市へ事業継続の働きかけをさらにしていくとともに、同時に事業が終わってしまった場合の患者のフォローなども見据えて、事業戦略を立ていかねばならないと考えています。
多様な文化背景を持つ外国籍市民等が、安心して医療サービスを受け,安全に暮らすことができるよう、医療通訳者の派遣を行います。京都市の財政非常事態で2020年より予算の見直し、体制性の見直しが図られたが、昨年度秋に京都市としての事業は22年度いっぱいになる可能性を提示されています。来年度の対応については継続を働きかけていくとともに、事業がなくなった以降の市内の病院への派遣事業の新構築も視野にいれる必要があります。
・対象:協定病院を受診する外国籍市民
※2019年度から、治療目的で来日した患者への対応については行わない旨を明確にして事業を実施していきます。
・実施団体
京都市、多文化共生センターきょうと
・派遣先医療機関
常駐対応 京都市立病院 火、金曜日(中国語)9-11時
金曜日(英語)9-11時
医仁会武田総合病院 火、金(中国語)9-12時
派遣対応 京都市立病院 火、水、金曜日(韓国朝鮮語)9-11時
医仁会武田総合病院 火、金(韓国朝鮮語、英語)9-12時
京都桂病院 火、水、金曜日(中国語、韓国朝鮮語、英語)9-12時
※利用数が多くなった場合は固定化を検討していきます。
・事業会議 3者会議
目的:協定病院と京都市、多文化の3者会議を2017年度から定期開催。
現状確認・課題の共有等。
日時:年4回程度
場所:京都市総合企画局国際交流・多文化推進室
・医療通訳派遣事業 3者会議
目的:協定病院と京都市、多文化の3者会議を2017年度から定期開催。
現状確認・課題の共有等。
日時:新型コロナ感染症の流行につき未定
場所:未定
・医療通訳現任研修
日時:秋ごろ頃
場所:未定
対象:登録医療通訳者
・医療通訳養成講座
目的:医療通訳派遣事業の理解を広める・活動する医療通訳者の人材確保
日時:2022年1月ごろ
対象:英語・中国語・韓国朝鮮語
人数:30〜40人程度
・通訳者選考会
目的:講座の受講者を対象とした選考会
日時:2022年1月から2月
実施言語・採用人数:通訳者不足にあわせて募集
・新人通訳者研修
目的:選考会に合格した実習生に対する指導・OJT研修
場所:多文化事務所、医仁会武田総合病院・京都市立病院・桂病院
時期:2022年4月〜(2020年度研修生)ワクチン接種完了者から再開
日本語を話せない外国人住民等が、安心して市内の医療機関を利用できる環境づくりを行うとともに、コミュニケーションギャップに起因する医療従事者 の負担 や診療上のリスクを軽減することを目的に医療通訳ボランティア(医療通訳士)を派遣する事業を実施しています。センターは枚方市の委託を受け、医療通訳ボ ランティアの研修、派遣を行っています。
・派遣先医療機関:枚方市内医療機関(57医療機関)
・派遣日時:平日9-12時
・派遣言語:英語・中国語・韓国朝鮮語(スペイン語については休職中)
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い規模を縮小して派遣
派遣対応 佐藤病院
関西医科大学附属病院
市立ひらかた病院
月〜土曜日 外来診療(夜間診療を除く)
・二者会議
隔月1回枚方市・多文化共生センターきょうとで、情報共有・事業の進捗確認・課題の検討を行います。
・医療通訳現任研修
日時:未定
場所:未定
対象:登録医療通訳者
・新人通訳者研修
目的:2021年の選考会に合格した実習生に対する指導・OJT研修
場所:多文化事務所、市立ひらかた病院・佐藤病院 中国語2名
日時:2021年12月〜
ボランティア通訳・人権研修・医療従事者向け研修の育成に関わる研修への講師の派遣を行います。なお、企業や病院からの派遣依頼については2016年度より多文化らぼへ移行しています。
現時点で確定している派遣(2022年4月)
◆医療通訳関連
・九州中国帰国者支援交流センター 医療通訳研修
・東海・北陸中国帰国者支援・交流センター 医療通訳研修 7/15
・順天堂大学大学院「医療通訳」
◆委員
・医療通訳技能認定委員会 委員
・調査・研究、学会・雑誌寄稿
・法人運営
・よせなべの会
目的:外国人医療に興味関心のある医療従事者の交流の場
日時:毎月定期実施
場所:現在zoom開催中